どどめいろ

ハナダの連絡帳

ノーズショップ「取扱注意な香り」8種ムエットレポ

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みなさん「危険」はお好きですか?

わたしは危険な香りがする男が本当に大好きなので、今回ノーズショップで企画された「取扱注意な香り」ムエットを嬉々として取り寄せてみました。

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一言で「危険な香り」とはいっても、きっとそこまで危険ではないだろうとたかを括っていたのですが、わたしはノーズショップを舐めていました。かなり危険な香りです

取扱注意な8種類の香りたち

①純度100%の悪「アタッキィ ル ソレイユ マルキ ド サド」/エタリーブルドオランジェ

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  • 50mL:13,750円(税込)
  • 100mL:20,350円(税込)
  • 本国表記:ATTAQUER LE SOLEIL MARQUIS DE SADE
  • ブランド:ETAT LIBRE D'ORANGE(エタリーブルドオランジェ)
  • 発売年:2016年
  • 原産国:フランス
ノート:ラブダナム(シスタス)
サディストの語源。フランス革命期の作家・哲学者であったマルキ・ド・サド侯爵は、愛、美へのタブーを疑問視し、常軌を逸した作品を多数残した。道徳・宗教・法律への反抗。彼の勇敢さと過激さへのオマージュ。(出典:noseshop)

マルキ・ド・サドといえば、サディスト(相手に対して、精神的で身体的な屈辱と苦痛を与えることによって性的な快楽や満足を得ること)の語源となった作家ですが、一方、死刑囚でもあります。

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 彼が獄中で執筆した作品は過激なもので、当時は”禁書”として一部の人しか読むことができませんでしたが、2017年には国宝にも登録されたというなんとも皮肉なもの。

さて、そんなサド氏へのオマージュとしてつくられた「アタッキィ ル ソレイユ」は、フランス語で”太陽を攻撃する”という意味を持つ言葉です。

実際にサド氏のひ孫を迎えてインタビューを重ねながら作り上げたと言います。 サド氏のモットーである蒙昧(もうまい)主義(意図的に曖昧または難解な表現を使うこと)と、戦いの闇に抵抗するものをイメージしています。

ムエットにそっと鼻を近づけてみると、最初に感じたのが「」の質感。

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 ”サド”という言葉から、鞭のような滑らかな革を連想させたのかもしれませんが、決して合革ではない本物の上質な革の香りがふわっと立ち上がり、その直後、フローラルに包まれたムスクがとても優しく香るのです。 まるで飴と鞭のように。

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 しかし、遠くでは禁断の果実のような甘酸っぱいフルーツピリリと刺激的なスパイスがちらちらと顔を見せ、優しさの裏に見せるまさに”サド”の雰囲気。

絶対に逃がさない

こんな声まで聞こえてきそうなほど、優しさと厳しさが頻繁に入れ替わる刺激的な香りでした。

わたし、結構この香り好きです。

この香水を解説とともに嗅ぎながら思い出したのが、フィフティシェイズオブグレイ」でした。

「支配者と奴隷」の契約を結んだふたりのように、どこか”いけない”ことをしてしまったような、背徳感を感じられるのがアタッキィ ル ソレイユだと思いました。 

②依存性の高い”粉”の隠語「チャイナホワイト」/ナーゾマット

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  • 30mL:18,700円(税込)
  • 本国表記:CHINA WHITE
  • ブランド:NASOMATTO(ナーゾマット)
  • 原産国:イタリア
トップノート:アーモンド、シナモン、スパイス ミドルノート:ヘリオトロープ、オリス、パチュリ、ホワイトフラワー ラストノート:アニマリック、バーム、シダー、レザー
自分の弱さを知るものこそ強き者なり。感傷的に過去に浸って、郷愁に襲われ、遠い昔に眠らされた夢想と再会する。その稀有な感情体験があなたの内なる強さを静かに呼び覚ます。(出典:noseshop)

「チャイナホワイト」といえば、まさにアレのことですよね。 ここではあえて何とは言いませんが、まさに「粉」まみれなパウダリーフレグランスです。

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 スッと香りを吸い込むと、たちまちアイリスヘリオトロープのパウダリーが「これでもか!」というほど粉感を主張してきます。これがもう、笑っちゃうほど!

そのまま香りを口の中で転がし、飲み込むようにすると、今度はフローラルにグルマンのような甘さが絡まり合って喉の奥まで落ちていきます。

この甘さは結構強めに感じて、バニラとも言えるし、キャンディーとも言えるような。 そのまま喉の奥まで落ちていったら、最後にレザーがほのかに顔を覗かせ、ふわっとした禁断の粉の終焉を迎えます。トリップは終わり、現実の始まりです。

大麻を再現した香り「ブラックアフガノ」/ナーゾマット

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  • 30mL:18,700円(税込)
  • 本国表記:BLACK AFGANO
  • ブランド:NASOMATTO(ナーゾマット)
  • 原産国:イタリア
トップノート:カナビス(大麻)、グリーンノート ミドルノート:樹脂、ウッディーノート、タバコ、コーヒー ラストノート:アガーウッド、インセンス
極上の香りを吸って吐き出せば、つかの間の至福のひとときへ。6年もの歳月をかけて世界最高品質のハシシ(大麻)を再現。人生においてこの恍惚感より大事なものなどなにもない。(出典:noseshop)

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 大麻の香りって、実際にはかなりひどいと聞いたことがあるのですが、どんな香りなんでしょうね。

機会があれば一度は嗅いでみたいところですが、日本ではジョイントが禁止されているのでそんな機会はなかなか訪れません。

最近は麻から抽出したCBDの成分を取り入れたコスメが流行しつつありますよね。

わたしもボディショップヘンプハンドクリームを使ったことがあるのですが、なんとも言い難い草の匂いでした。あれが大麻の香りに近いのでしょうか…。

さて、ブラックアフガノは、極上のひとときを味わえると噂の世界最高品質のハシシを再現した香水です。

カナビス(医療用大麻)や、コーヒータバコなど一癖ある香りが使われているようなのですが、実際に嗅いでみると全く癖のない、むしろ日本人好みなのでは?と思ってしまうほど爽やかなグリーンノートでした。

大麻を再現した香り」ということである程度身構えてしまっていたのですが、とても心地の良い香りでした。これが人生においての恍惚感というものなのでしょうか。

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 大麻といえば、わたしの好きなNetflixオリジナルシリーズの海外ドラマ「ハイライフ」(Disjointed)が真っ先に思い浮かびます。

大麻が解禁されたロサンゼルスを舞台にしたシットコムなのですが、主演のキャシーベイツが最高なのでNetflixに入っている方はぜひ観てください。

ASMRまで出ていて笑ってしまいました。

④「爆撃」のような圧で作られる音「コントレボンバー」/エキストレドミュージック

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  • 50mL:15,950円(税込)
  • 本国表記:CONTRE BOMBARDE 32
  • ブランド:extrait de musique(エキストレドミュージック)
  • 原産国:イタリア
トップノート:エレミ、ジュニパー、ビターオレンジ ミドルノート:シダー、サンダルウッド ラストノート:キャラメル、バニラ、アンバー
コントレ ボンバーはリードのストップで、地の底から唸るような音を作り出すため、驚くべき空圧を必要とする。その音色は低く、ふくよかであり、最も力強いオルガン・ストップである。(出典:noseshop)

「爆撃の圧の音」と聞くと、まるで戦隊モノの爆破シーンのような風景が思い浮かんでしまい、火薬の匂いなのかな?と思ったら全く違いました。

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この香水は、パイプオルガンが音を発するときに楽器内部でかかる圧の音を再現しています。

パイプオルガンの音だけではなく、内部の仕組みや、息の通る道、そして空気が入り、圧がかかる瞬間。パイプオルガンを知り尽くしているプロでなければ辿り着けない境地。

パイプオルガンへの熱い愛も感じます。(実際に香水を手掛けたフィリッポ・ソルチネッリはオルガン奏者) その愛は香りのみならず、香水のボトル、ボックスにまで及んでいます。

ボトルキャップと名前は、パリのノートルダム大聖堂のパイプオルガンのオルガン・ストップ(けん引棒)をモチーフにし、箱のデザインはパイプのために水平に開けられたオルガンの穴を表現している。(出典:noseshop)

音を香りで表現する。とても気になります。

ムエットをスッと吸い込んでみると、まず最初に弾けるようなオレンジ、次にジュニパーのややピリッとした深みのある香りが鼻へ届きました。

なるほどこれがパイプにかかる爆撃の圧かな。 そのままふわーっと喉の奥まで香りを流していくと、ほの甘いバニラやアンバーがスルスルと抜けていきます。一気に圧がかかったあとの開放感。

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 この香水は「緊張と解放」がテーマだと感じたので、トップとラストでは印象がガラッと変わるのがとてもわかりやすくて面白いと思いました。

⑤過去の美の呪い「ファット エレクトリシャン」/エタリーブルドオランジェ

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  • 50mL:13,750円(税込)
  • 100mL:20,350円(税込)
  • 本国表記:FAT ELECTRICIAN
  • ブランド:ETAT LIBRE D'ORANGE(エタリーブルドオランジェ)
  • 発売年:2009年
  • 原産国:フランス
ノート:ホイップクリーム、ベチバー、マロングラッセ、オリーブリーフ、バニラ、ミルラ、オポポナックス(樹脂)
テキサス州のまばゆい太陽と優雅に踊るまつげ、麦の穂になでられた柔らかな肌。女性やパーティとは無縁の少年に宿る、儚い官能的な美しさは、いつの間にか費消され、過ぎ去った過去の光はいまの彼を苦しめる。(出典:noseshop)

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 テキサスと聞くと、真っ先に「ヤングシェルドン」(ビッグバンセオリーのスピンオフ)が思い浮かびます。

この香水のコンセプトである「テキサス州のまばゆい太陽と優雅に踊るまつげ、麦の穂になでられた柔らかな肌。

女性やパーティとは無縁の少年に宿る、儚い官能的な美しさは、いつの間にか費消され、過ぎ去った過去の光はいまの彼を苦しめる。」

これのイメージが、どうしても幼少期のシェルドンなのです。

 
 
 
 
 
 
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過ぎ去った過去の光はいまの彼を苦しめるなんてことはシェルドンには決してないであろうと思うのですが。(彼なら過去の栄光も今もずっと誇り高い心の持ち主なので)

この香水のイメージが70〜80年代のテキサスと創業者兼調香師であるエチエンヌ・ドゥ・スワールさんも答えていたので、なんとなくレトロアメリカンの雰囲気なのかなと思いました。

ムエットをそっと吸い込むと、ホイップクリームマロンクリームなどの甘い香りにオレンジジュースのような甘酸っぱい香りがふわっと抜けていきます。

まるで、賑やかな家族の会話の間に生まれる幼き頃の楽しい思い出のよう。

大人になってからその頃を思い返すと、今の自分にはなかったピュアな部分がとても美しく写り、今の自分にはそんなピュアな部分はないんだという絶望感に胸が締め付けられます。

⑥深い森の中、その謎の存在「ファントム ドゥ ムール」/ストラスクガン

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  • 30mL:20,350円(税込)
  • 本国表記:FANTOME DE MAULES
  • ブランド:STORA SKUGGAN(ストラスクガン)
  • 原産国:スウェーデン
トップノート:グリーンリーブス、ガルバナム、ベルガモット、レモン
ミドルノート:カルダモン、カシュメラン、ラベンダー、コリアンダー、ブラックペッパー、フォレストフラワーズノート
ラストノート:オークモス、ベチバー、アンブロキサン(アンバーグリス/竜涎香)、シダー、トンカビーン、ラブダナム、ムスク、サンダルウッド
スイスの深い森、目撃情報が絶えない幻の巨人ファントム ドゥ ムール。私達が知る由も無く、自分が誰なのか説明する必要もない、その不確かで謎めいた存在は私達の心をざわつかせる。(出典:noseshop)

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 この香水を嗅いだときに思ったのが、とても”ひっそり”した香りだということ。 ただし、「深い森の中の謎めいた存在」がテーマになっているだけあって、ただのグリーン・アース・ウッディーノートではなく、やはり、一筋縄ではいきません。

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 深く深く深呼吸をするように香りを喉の奥いっぱいまで広げていくと、しんと静まり返った静謐な森の片隅に、いくつかの小さな素朴なお花を見つけることができます。

お花の香りを近くで嗅ごうとすると、ふわふわと逃げてしまうのですが、ほんの少し甘い香りを残していくので、輪郭がぼんやり見えるような不確かな存在。

これが深い森の謎めいた存在なのでしょうか。 

⑦香りの罠に潜む棘「ベルガマスク」/オルトパリージ

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  • 50mL:19,500円(税別)
  • 本国表記:BERGAMASK
  • ブランド:ORTO PARISI(オルトパリージ)
  • 原産国:イタリア
ノート:ムスク、ベルガモット
強力な香りの罠で、人々は吸い寄せられる。新鮮な柑橘の香りの中に潜む棘が、不敵な笑みを浮かべて、あなたの肌の上で遊ぶように踊りだし、狂気の中で人々をメッタ刺しにする。(出典:noseshop)

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 ベルガモットアールグレイの香りづけとしても使われるほど世界中で愛される香りであり、ファンも多いアロマですが、シトラスの中でもレモンやグレープフルーツのように爽やか!な香りでもないし、深みのある香りですよね。

わたしはベルガモットを二面性のある香りだと思っています。

そんなベルガモット花言葉は「やすらぎ」「やわらかな心」。 ですが、一方で「野性的」「燃えるような恋」という反面する意味も持ち合わせているのが面白いところです。

ベルガマスクは、そんなベルガモットの二面性を感じさせてくれる香水なのではと思いました。

はじめはムスクの柔らかい香りにふわっと包まれたベルガモットが優しく顔を見せるのですが、次第にベルガモットのもつ深み(ほんのりピリリとした刺激)がじわじわとやってきて追い詰める。

気づいたときには逃げられない。 優しい顔を見せておいてじつはとても危険な香り、それがベルガマスクなのかもしれません。

⑧肌の痛み「ドゥラー2」/ボーグプロフーモ

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  • 50mlサイズ:33,000円(税込)
  • 本国表記:DOULEUR2
  • ブランド:bogue profumo(ボーグプロフーモ)
  • 原産国:イタリア
トップノート:樟脳、メロン、キュウリ、ミント ミドルノート:ローズ、メタリックノート、ソルト、ウォータリーノート ラストノート:オイスター、樹脂、ベンゾイン、ジャコウネコ
英国のタトゥー作家とのコラボ作品が進化。痛みの香り。空気に彫り込む香り。メロンとキュウリを、樟脳のティーツリーと砂糖漬けのミントの過剰投入で増幅。飼い慣らされた鉄のバラと日焼けした肌の誇張された残香。(出典:noseshop)

今回のムエットシリーズで1番鼻へぐわっときたのが、ドゥラー2でした。

これもかなり危険な香りなのですが、例えるならば最初に挙げた「アタッキィ ル ソレイユ マルキ ド サド」(サド公爵の香り)の現代版といったところでしょうか。

タトゥー作家であり緊縛アーティストとのコラボかつ「痛みの香り」ということで、どこかサディストな雰囲気も感じさせます。

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最初に感じるのは、樟脳に包まれた砂糖漬けのミントの甘い香り

初めて嗅ぐ香りです。

そこからどんどん吸い込んでいくと、途中でメタリックで身を纏ったローズと対面します。 しっかりローズを感じるわけではなく、金属や鉄に包まれた焼け焦がれたバラの香り。とても不思議な感覚です。

甘さの中に棘がある香りという表現が一番近いのかもしれません。

棘というと、スパイスのようなピリッとした刺激を思い浮かべてしまうのですが、この香水は樟脳やメタリックで表現しているのがとても面白いと思いました。

かなりセクシーな香りです。

この香りを自然に纏えるとしたら、タトゥーをいれるのに慣れた強い女性だけかもしれません。痛みを超えた先にある快楽。これがドゥラー2です。

まとめ

ここまで危険な香りを嗅いだのははじめてです。 封を開ける前から「ヤバイ」と感じるほど甘くてずっしりとした香りがしたのですが、ムエットひとつひとつをじっくり嗅いでみるとさらにそのヤバさが強調されてドキドキしてしまいました。 想像力を掻き立てられるような香りばかりなので、オタク的にも色々と捗りそうです。 ノーズショップのお店に行ったらいくつかチェックしてこようと思います。